夜明けに

一日中飲んでベロンベロンに酔っている彼と、彼の友達と何人かで軽のバンで送ってもらう。

その日ゆっくり彼と話すのは初めてだった。

耳元で囁く。

彼は優しく私の手を握り、身体を寄せて足を私の太股に絡ませてくる。

耳元で囁く。

彼は私の足をさすり、指と指を絡ませてぎゅっと握る。

私の声が聞こえないようで、身体を更に近づけて声を聞こうとする。

私は彼の耳朶を少しだけ優しく舐めてあげる。

そしてもう一度ゆっくり囁く。

サヨナラ

だって彼女を作ったのは彼の方なのだから。

私は永遠の片思い。何度目かの失恋。

夜が明ける。もうすぐ夜が明ける。