2017-01-01から1年間の記事一覧

それは唐突に

天使とやらの存在は何だか信じる気持ちにならないのであるが、突然予想もしないような幸福が舞い降りることがある。幸福になれていない貧乏性な私は、それ以上の意味をそこに見出さないよう注意しなければならない。 それでも、やはり私だけが、特別選ばれて…

繁栄と没落

山あいの小さな町に行商の男が辿り着いた。身なりは粗末で、町外れの小さな小屋に住みついた。どこから来たのか誰も素性も知らない男はやがて、あちこちの田圃を買い占めるようになる。金貸しを始めてみるみるその財産を増やす。 大きな屋敷を建て、使用人を…

読書レビュー~恋と言葉遣い~

キーワードから辿って来られると、失望させるので書名からの検索にかからないようにします。 読書感想文は昔から苦手で苦手で、夏休みの宿題の最後に残るものだったので、本筋?とか主題とかとはズレてると思います。 余り知らなかったけれど、結構話題の作…

夜明けに

一日中飲んでベロンベロンに酔っている彼と、彼の友達と何人かで軽のバンで送ってもらう。 その日ゆっくり彼と話すのは初めてだった。 耳元で囁く。 彼は優しく私の手を握り、身体を寄せて足を私の太股に絡ませてくる。 耳元で囁く。 彼は私の足をさすり、指…

逃避行憧れという名の生活疲れ

何もかも捨ててどこか遠くに行く。誰も私を知らない場所で生きていく。彼と二人だけで肩寄せ合って静かに優しい時間を生きていく。 あーなんて素敵! 私は殆ど米粒を食べないし家でご飯を食べない。朝ごはんは全く食べないし夜ごはんもほとんど食べない。仕…

破壊と再生

この世界を変えられると信じていた。 戸籍も天皇も要らない、男女や貧富や障害の有無も関係なく、子どもたちも大人も、みんな幸せな世界をつくりだせると信じていた。出稼ぎの外国人労働者もこの日本に住む全ての国籍の人々も同じように豊かさを享受できるク…

嫁姑

姑は可愛くて若くてお洒落で、無口な優しい人だった。ネットワークビジネスで化粧品を買っていて、売ると儲かる?位の位置にいたけれど、それとて宣伝したり頼んで広がったわけではなく、友だちが綺麗になった姑の肌を羨ましがって好んで買ってくれたからだ…