破壊と再生

この世界を変えられると信じていた。

戸籍も天皇も要らない、男女や貧富や障害の有無も関係なく、子どもたちも大人も、みんな幸せな世界をつくりだせると信じていた。出稼ぎの外国人労働者もこの日本に住む全ての国籍の人々も同じように豊かさを享受できるクニ。

心豊かで安らかで、笑顔の溢れるクニに変えられると信じていた。

家庭や家族は最も身近で最も悪意がなく、しかし最も執拗にその理想を阻む厄介なものだと気づくのは随分あとのことだった。なによりも私自身がその家族単位主義に束縛され解放されようとしなかったため、自らその理想を捨て去る裏切り者になったのだから。